GI値が高い食品を摂取するとインスリンが過剰に分泌して太る原因になるという話を聞いたことがありませんか?
コンビニなどでも低GI食品などという商品を目にすることも多くなって来ました。
GI値とは食品を摂取後の血糖値の上昇具合を表す指標です。
つまり血糖値が上昇しやすいほどGI値は高くなります。
糖質の摂取により血糖値が上がることはよく知られており、糖質の塊である砂糖のGI値は高いに違いないと思うのが当然です。
検索サイトでも『 砂糖 GI値 』で調べてみると砂糖のGI値を100以上で表記したサイトが多く見られます。
これについて特に疑問を感じる方は少ないのではないでしょうか?
私も血糖値を上げるために高GIだと思っていた砂糖をあえてプロテインと一緒に摂取していたぐらいです。(インスリン分泌によるタンパク質の吸収促進狙い)
でも詳しく調べてみると一番血糖値を上げやすいとされるブドウ糖のGI値を100とした場合に、砂糖のGI値が100を超える理由はないのです。
それは同じ糖質でも血糖値を上げやすい糖質、血糖値が上げにくい糖質が存在することで説明ができます。
「砂糖はGI値が100を超えるので・・・」で始まる健康食品の宣伝サイトには注意しましょうw
ここでは砂糖のGI値がブドウ糖(GI値=100)を超える訳がない理由について解説します。
砂糖のGI値が100を超えない理由
GI値
そもそもGI値とはなんなのでしょうか?
GI値とは血糖値の上がりやすさを比較する指標です。
血糖値を上げやすいものがGI値が高くなるということは皆さんもご存知だと思います。
血糖値が上がるとインスリンが分泌して糖質が脂肪になりやすくなるから、特にダイエット中は高GI食品は控えましょうってやつですね。
しかし、ダイエットにはGI値が低いに越したことはないことは知っていても、GI値の詳しい算出方法を把握している方は少ないのではないでしょうか?
GI値とは炭水化物(食物繊維を含まない)50gを摂取した場合の血糖値の上昇の時間変化を描き、その曲線の面積をブドウ糖を100として相対値で表しています。
時間変化やら曲線やら面積やらややこしいですが、要はブドウ糖に対してどのくらい血糖値が上がりやすいかという指標になります。
ここでは一定量の炭水化物(50g)を摂取した時の値であることと、ブドウ糖をその基準としているということを覚えておけば十分です。
基準試料
GI値は基本的にブドウ糖との比較で表現されるのですが、この時のブドウ糖は『基準試料』といます。
ブドウ糖の血糖値の上がりやすさを100とした場合に、ブドウ糖よりも血糖値が上がりやすいものは100以上になりますし、血糖値の上がり方が半分であればGI値は50と表されます。
ただし、このGI値を算出するための『基準試料』はブドウ糖でなくても問題はなく、実は何を基準試料としてもいいのです。
基準試料が限定されていないことで同一の食品でもGI値が異なることがあり、誤った情報が散見する理由の一つになります。
同じ食品でも基準試料をブドウ糖とする場合と、ご飯にする場合ではGI値が異なるのです。
例えばバナナはブドウ糖を基準試料とするとGIは55程度ですが、ご飯を基準試料とすると75程度になります。
基準試料がGI値が低くいほどそれを基準として計算した食品のGI値が高く表現されることになります。
よってGI値を表記する場合は基準試料を明記することが不可欠なのです。
しかし、知識不足のためか意図的なのかはわかりませんが基準試料の記述がないサイトがほとんどです。
さらにGI値を自分でわざわざ測定して表記しているサイトはほどんどなく、基本試料が曖昧なサイトから情報を引用していることも多く、同一表内で別の基本試料でのGI値を並べてしまっているサイトも少なくありません。
実際に砂糖の場合はGI値が109であったり、70であったりサイトによって異なった値で表記されていることが確認できます。
基準試料の記述がない場合はどちらが正しいとか間違っているとは言えないのでややこしい限りです。
ちなみにブドウ糖のGI値は100なのに砂糖のGI値は109でブドウ糖よりGI値が高いから危険!
みたいな書き方をしているサイトがありますが、この場合はブドウ糖を基準試料としていると想定できるので明らかに間違いと言えます。
このように GI値の算出方法において基準試料が限定されていないことが、誤解を生みやすいGI値が広まる原因の一つになっています。
炭水化物50g
GI値は『炭水化物50g』の試料で比較することになっています。
正確にいうと食物繊維を除く炭水化物なので糖質50gでの比較になります。
なのでブドウ糖50g、砂糖50g、ご飯135g、バナナ225g、人参500gを比較することになります。
また、肉などの炭水化物が少ない食品のGI値を測定するのは現実味がありません。(豚肉だと50kgも摂取しないといけない・・・)
炭水化物の含有量が少ない食材のGI値が記述されてる場合は信憑性を疑った方が良いかもしれません。
また、ここでは試料の量がブドウ糖50gではなく炭水化物(糖質)50gであることも覚えておきましょう。
砂糖がブドウ糖のGI値を超えない理由の1つになります。
ちなみに炭水化物や糖質と聞くとダイエットの敵みたいに思っている人も多いと思いますが、糖質は余ると脂肪になるけど余らなければ脂肪にはならないって話もあるのでご参考までw
血糖値とは
GI値とは血糖値の上がりやすさを示す指標であることは説明しました。
では血糖値とはなんでしょうか?
血糖値とは読んで字のごとく、血液中の糖質の濃度です。
ただし、この記述は誤解を生む点があります。
血糖値とは正確にいうと血液中のブドウ糖(グルコース)の濃度ことです。
炭水化物の中にはデンプンやオリゴ糖などの様々な糖質が含まれますが、ブドウ糖以外の糖質が血液中に溶けても血糖値が上がることはありません。
実は血糖値とは血ブドウ糖値なのですw
よって同じ炭水化物(糖質)50gでもブドウ糖の含有量により血糖値の上がりやすさ、つまりはGI値に差が出ることになります。
砂糖を構成する糖質
ここでやっと砂糖の登場です。
砂糖は糖質のみで出来ていますが、ブドウ糖の含有量はどのくらいなのでしょうか?
砂糖は単糖であるブドウ糖と果糖が1つずつ結合した2糖類です。
ちなみに果糖とは果物や蜂蜜に多く含まれていることで有名な単糖ですね。
この果糖ですがブドウ糖と同じように消化吸収により血中には取り込まれるのですが、直接血糖値を上げることはありません。
あくまで血糖値とは血中のブドウ糖濃度のことだからです。
砂糖はブドウ糖と果糖で構成されているので、砂糖の炭水化物(糖質)50gのうちのブドウ糖の含有量は半分の25gになります。
砂糖は血糖値を上げる代用的な食品だと思いがちですが、実は直接血糖値を上げるブドウ糖の含有量はその半分しかないのです。
よってブドウ糖50g(ブドウ糖含有量50g)と砂糖50g(ブドウ糖含有量25g)で比較した場合では砂糖がブドウ糖のGI値を上回る訳がないのです。
砂糖のGI値は70程度が妥当(ブドウ糖を100とした場合)
ここまでの説明で砂糖がブドウ糖のGI値を上回るわけないじゃんというのは理解していただけたと思います。
では実際の砂糖のGI値はどのくらいなのでしょうか?
血糖値を上昇させる物質がブドウ糖だけであれば単純計算でブドウ糖のGI値を100とした場合、砂糖のGI値は50程度にしかならないと考えられます。
ただし、実際に砂糖のGI値を測定すると70程度になります。
実は果糖は直接血糖値を上げることはないのですが、間接的に血糖値を上げるからなのです。
果糖はブドウ糖ではないので血中に溶け込んでも血糖値(血中ブドウ糖濃度)を上げることはありません。
しかし、吸収された果糖は肝臓で糖新生によりブドウ糖に変換され血中に送り込まれます。
果糖は吸収された段階では血糖値の上昇はありませんが、肝臓でブドウ糖に変換されることで血糖値を上げるのです。
また果糖は肝臓で中性脂肪にも変換されることや、エネルギーとしても使われるので100%ブドウ糖へ変換されることはありません。
ブドウ糖へ変換される量をざっくり半分だとすると砂糖のGI値が70程度となるは妥当である言えるのではないでしょうか?
GI値70以上が高GI食品と言われているので、砂糖はギリギリ高GI食品になるかならないかぐらいですね。
ちなみに高GI食品を分類しているGI値はブドウ糖を100とした場合の数値です。
なので『GI値70以上は高GI食品と呼ばれていて砂糖のGI値は109なのでやばい!』という表現は間違いかミスリードになります。
砂糖のGI値が100を超える場合
基準試料をブドウ糖とした場合(ブドウ糖のGI=100)では砂糖のGI値が100を超えることは絶対にありません。
ただ砂糖のGI値を100以上と表記しているサイトが多く見られます。
これはどういうことでしょうか?
素直に考えると基準試料がブドウ糖ではないと思われます。
この基準試料ですが日本では主食であるご飯が基準試料になることがあります。
砂糖とご飯のGI値は似たようなものなので、ご飯を基準試料とした場合には砂糖のGI値が100を超える可能性があります。
よって砂糖のGI値を100以上で表記している場合は基準試料がブドウ糖ではなくご飯などである可能性が高いのではないかと思います。(もしくはご飯以外)
ただし、ほとんどのサイトが基準試料を明記していなかったり、果てはブドウ糖を基準試料としていると表記されているのが現状です。
このように誤解を生む情報が散見しており、その情報を引用してさらに誤情報が蔓延する状況なのです。
GI値については情報を鵜呑みにするのではなく、理論的に正しそうな値を信じる方が合理的ではないでしょうか?
まとめ
砂糖が基準試料をブドウ糖(ブドウ糖のGI値を100)とした場合では砂糖のGI値が100を超えることがないという解説でした。
最後にまとめです。
GI値とは食物繊維を除いた炭水化物(つまりは糖質)50gを摂取した時の血糖値の上昇具合を基準試料を100として比較した数値です。
基準試料がブドウ糖が用いられることが基本ですが、何を用いてもよく基準試料により同じ食品でもGI値が異なることがあります。
血糖値とは血中のブドウ糖濃度のことであり、果糖が血中に溶け込んでも直接血糖値を上げることはありません。
砂糖はブドウ糖と果糖が半々で構成されているため、炭水化物50gに含まれているブドウ糖は25gとなります。
よってGI値としてはブドウ糖50g(含有ブドウ糖50g)と砂糖50g(含有ブドウ糖25g)を比較することになるため、砂糖のGI値がブドウ糖のGI値を超えることはありません。
これが基準試料をブドウ糖(ブドウ糖のGI値を100)とする場合には砂糖のGI値が100を超えることがない理由です。
また単純計算では砂糖のGI値は50程度になりそうですが、果糖も肝臓でブドウ糖に変換されるために間接的に血糖値を上昇させるため、砂糖のGI値は70程度になるのが妥当だと思われます。
しかし、砂糖のGI値を100以上と表記しているサイトが多く見られるのはご飯もしくはそれ以外を基準試料として用いたデータを引用している可能性が高いと思われます。
ただし基準試料を明記したサイトが少なく誤情報が拡散しているのが現状です。
悪質なサイトでは砂糖のGI値の表記は基準試料をご飯にしてGI値を100以上で表記しておいて、低GI食品としてオススメしている商品のGI値は基準試料をブドウ糖にしてGI値を低く表記しているようなこともあります。
基準試料の明記がないような知識に乏しい、もしくはミスリードを誘うような情報源には注意しましょう。
ちなみにGI値を検索するとなぜかフランスパンのGI値を90以上で表記しているサイトが多く見られます。
砂糖がGI値70ぐらいが妥当って話なのにフランスパンのGI値が90以上ってどういうことよ⁈
ってなりません?
この数値は妥当な値なのでしょうか?
フランスパンのGI値の妥当性についてはまた後日。
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