脂肪が効率よく燃えるには糖質が必要

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糖質を枯渇させるとエネルギー源は脂質だけになる。なので体脂肪が効率的に燃焼するようになのだ。と思っている人は多いと思います。

私もその1人で糖質制限での体重減少は水分が抜ける影響が大きいにしても、糖質の枯渇後には脂肪が効率よく燃焼するようになるなら「別にそれでもいいじゃん!」と思っていました。

ところが糖質を制限すると脂肪がより多く消費されると言うのは誤解であり、むしろ脂肪を効率よく燃焼させるには糖質の摂取が必要不可欠であるとう話があるのです。

しかも実はこの話、栄養学の世界では当たり前ということのようです。

ただ、成否を確認するにしても栄養学の話は自分で調べようとすると化学式やら反応式が満載で気が遠くなっちゃいますよね。

そこでここでは必要最小限の情報だけで出来るだけ簡潔に糖質や脂質が燃焼するメカニズムについて解説します。

糖質と脂質の代謝のメカニズムを把握することで、より効率の良い脂肪燃焼を実現しましょう。

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糖質や脂質が燃焼するメカニズム

クエン酸回路

そもそもヒトは摂取した食物をどのようにしてエネルギーにしているのでしょうか?

ほとんどの動物はクエン酸回路 (TCA回路)というものを利用して、摂取した食物からエネルギーを取り出しています。

専門用語を少なめにするといいながら早速出てくるクエン酸回路ですが、これぐらいは覚えてもいても損はないかもしれません。

このクエン酸回路に材料が投入されると様々な物質に変化しながら効率よくエネルギーを作り出してくれます。

効率よくエネルギーを作るために数多くの物質を経由するのですが、全部覚えるのもここに書くスーパー面倒臭いですし、別に栄養学の単位を取る訳でもないので知らなくてもいいですw

覚えておいて欲しいのはヒトはクエン酸回路という燃焼炉を持っていて、そこに材料を投入することでエネルギーを作り出しているということです。

なぜこの燃焼炉がクエン酸回路という名前なのかというと、投入する材料というのがクエン酸だからなんです。単純な命名ですねw

このクエン酸ですが細かい話を度外視するとアセチルCoA(アセチルコエー)とオキサロ酢酸という2つの物質から合成されます。

クエン酸回路にはクエン酸の形で投入する必要があるため、エネルギーを作り出すためにはアセチルCoAとオキサロ酢酸の両方が必要になってくるのです。

脂質は糖質と共に燃える

エネルギーを効率よく取り出すクエン酸回路を利用するためにはアセチルCoAとオキサロ酢酸という2つの物質が必要であることは理解いただけましたでしょうか?

ここまでの説明で感の鋭い方はお気づきかもしれませんが、脂肪の代謝(分解)だけでは片方の物質しか作り出すことが出来ないんです。

よって脂肪の代謝のみではクエン酸が合成され難くなるのです。

結果、クエン酸回路に投入するクエン酸量が少なくなり、時間単位のエネルギーの抽出量が減ってしまうのです。

ちなみに糖新生やらなんやらで完全に体内の糖質が枯渇することはまずあり得ないので、糖質を全く摂取しなくてもオキサロ酢酸が完全に枯渇し脂質由来のアセチルCoAが全く消費されなくなるなんてことはないのでご安心ください。

ただし、オキサロ酢酸がアセチルCoAに対して極端に不足すると脂肪を効率よく燃焼することが出来なくなることは容易に想像できるのではないでしょうか?

これが体内の糖質が枯渇することでエネルギー源が脂肪だけになったとしても、脂肪が効率よく燃焼できる訳ではない理由になります。

クエン酸回路を利用しエネルギーを作り出すためには、糖質の代謝(分解)により作られるオキサロ酢酸を供給してあげる必要があるのです。

脂肪は脂肪だけでは燃えにくく、糖質と一緒に燃えることでより効率よく燃えることができるのです。

脂肪は糖質の炎で燃えるという人もいますが、これに由来しています。

糖質の代謝

まずは糖質の代謝を見てみましょう。

糖質の代謝では様々な物質を経由して最終的にアセチルCoAとオキサロ酢酸が作られます。

途中の過程はややこしいので興味を持った方は各自で調べてみてください。

まぁ〜 一般人が理解する必要はないと思います。

最悪イメージだけ覚えておけば、クエン酸回路もアセチルCoAもオキサロ酢酸も名前は全部忘れちゃってもいいですwww

話を戻すと実は糖質の代謝ではアセチルCoAとオキサロ酢酸の両方の物質がちゃんと作られます。

よって糖質は単独でクエン酸回路でエネルギーを作り出すことが出来ちゃいます。

脂質からしてみればちょっとずるいですねw

ただ人間の体からすると急に大きなエネルギーが必要になった時に反応の早い糖質だけからエネルギーを取り出すことが出来ないと咄嗟に体が動かせなくなってしまいます。

ライオンに襲われた時に反応の遅い脂質の代謝が始まるまで「ちょっと待っててね」なんて言えないですし、ピンポンダッシュも出来たもんじゃありませんw

冗談はさておき、糖質は代謝反応がスピーディーでかつ糖質の代謝物のみでクエン酸を作り出せることが出来る使い勝手の良いエネルギー源なのです。

人間の体がエネルギー源を脂肪なんかで備蓄せずに、糖質だけで備蓄することが出来れば良かったんですけどね。

まぁ〜それはそれで不具合が出まくるのであかんですけどwww

脂肪の代謝

では脂肪の代謝はどうなっているのでしょうか?

ダイエッターが減らしたいと切に願う脂肪である内臓脂肪も皮下脂肪も中性脂肪です。

なので痩せるためには中性脂肪を燃やす必要があります。

中性脂肪はまず脂肪酸に分解されアセチルCoAまで代謝されます。

今回の話には必要ないので簡単に書きましたが詳細を知りたい方は各自で調べてねw

たった1文の説明でアセチルCoAにまで代謝された脂肪酸ですが、脂肪酸からはオキサロ酢酸を作ることはできません。

出来ないったら出来ないのです。

細かい話は置いといて皮下脂肪などの中性脂肪から分解された脂肪酸からはアセチルCoAのみが作られ、オキサロ酢酸は作ることが出来ないと覚えておきましょう。

つまり脂肪酸の代謝だけではオキサロ酢酸が不足しクエン酸を作り出すことが出来ないため、クエン酸回路からエネルギーを取り出すことはできないのです。

今回の話のツッコミどころになるのでここだけの話ですが、(中性脂肪ではなく)脂肪酸からオキサロ酢酸を作ることはできませんと記述しているのには訳があったりします。中性脂肪を分解すると先ほど説明した脂肪酸だけではなくグリセロールという物質も出てきます。このグリセロールですが色々な系でこねくり回すとオキサロ酢酸になっちゃいます。つまり脂肪酸からは確かにオキサロ酢酸は作られないのですが、中性脂肪からオキサロ酢酸が少しも作れない訳ではないのです。なので中性脂肪の代謝だけでもクエン酸作れんじゃん!クエン酸回路を回せるじゃん!ってなっちゃうのです。
ただし、1つの中性脂肪は脂肪酸 3つとグリセロール 1つに分解されます。よって総量としてオキサロ酢酸が不足することには変わりはなく大嘘ではないので許してねw 実際に糖質が枯渇してるような状態ではグリセロールは糖新生の方に使われがちなのでクエン酸の合成に回るのは極々少量のはず、きっと、多分、そうあって欲しいwww

オキサロ酢酸は減少しない⁈

糖質からはアセチルCoAとオキサロ酢酸が作れますが脂質からはアセチルCoAしか作られないために、脂質の代謝だけではクエン酸を作ることが出来ずにクエン酸回路からエネルギーを取り出すことは難しい。
ということは理解頂いたとして、ここで疑問に思われる方も多いと思います。

糖質から供給されたオキサロ酢酸は糖質由来のアセチルCoAをクエン酸に合成するために使われてしまうんじゃないか?という疑問です。

結局、脂質由来のアセチルCoAをクエン酸に合成する分のオキサロ酢酸は足らないままなんじゃないか?という話ですね。

でも安心してください。
実はクエン酸回路でエネルギーを抽出したクエン酸の最終代謝物はオキサロ酢酸なのです。

???ちょっと何言ってんだかわからない。って感じですよね。

クエン酸回路は様々な物質を経由してエネルギーをより出すのですが、最終的にオキサロ酢酸に戻ってくる経路をたどります。

ここにアセチルCoAを供給してあげるとまたクエン酸が合成されクエン酸回路からエネルギーを取り出すことが出来るのです。

クエン酸回路とは同じ反応をグルグル回すことでエネルギーを取り出すさまが回路のようなのでクエン酸回路と呼ばれているのです。

回路のイメージはどうでもいいとして、クエン酸を燃焼炉に投入してエネルギーを取り出し終えた燃えカスがオキサロ酢酸になるイメージでも問題ありません。

クエン酸を合成していたアセチルCoAだけがエネルギーとして変換され、オキサロ酢酸は減少せずに残ることだけ覚えておきましょう。

オキサロ酢酸が投入されるとクエン酸回路ではオキサロ酢酸が減少することがないため、糖質由来のアセチルCoAをエネルギーにした後はオキサロ酢酸が残ります。

この残ったオキサロ酢酸と順番待ちをしていた脂肪由来のアセチルCoAでクエン酸を合成しクエン酸回路に入ることが出来るのです。

ちなみに脂肪がアセチルCoAに代謝されるよりも、糖質がアセチルCoAとオキサロ酢酸に代謝されるスピードの方が早くなっているのはオキサロ酢酸も持っている糖質を先に燃焼させるためでもあるのです

運動直後は糖質の燃焼が優勢で20分を超えたあたりから、脂肪の燃焼が優勢になるってやつですね。

1度、糖質からオキサロ酢酸を投入してあげればその後に糖質が枯渇して供給がストップしても、オキサロ酢酸は李サイクルされ続けるので脂肪を燃やし続けることができるのです。

糖質の摂取で燃焼量UP

オキサロ酢酸は減少しないので最初にオキサロ酢酸を準備してあげればずっと脂肪が燃焼し続けることになります。

これを聞くと別に糖質制限しても脂肪燃え続けるじゃんと思う人もいるかと思います。

確かに脂肪は燃え続けるのですがオキサロ酢酸の総量が少ないと単位時間当たりに消費されるエネルギーが少なくなってしまいます。

クエン酸回路という燃焼炉において糖質の供給は炉の火力を上げるイメージであり、脂質の供給は燃焼時間を伸ばすイメージです。

オキサロ酢酸の供給量が少ないと火力が弱く単位時間当たりのエネルギーの抽出量が減ってしまします。すると同じ量の脂肪を燃焼させるにも時間がかかってしまうのです。

オキサロ酢酸の供給量が十分であれば火力が上がります。するとクエン酸回路に入れられる脂肪酸由来のアセチルCoAも増やすことができるので脂肪が燃えやすくなるのです。

必要のないエネルギーは脂肪になる

ただしこのクエン酸回路ですが投入すれば投入するだけエネルギーを取り出してくれる訳ではありません。

人間の体はよく(ダイエットの観点で言えば都合が悪く)できていて、必要なエネルギー分しか取り出すことが出来ません。

エネルギーとして使用しない分以上のクエン酸を投入しても反応が起こらないまま余ってしまうのです。

この余ったアスチルCoAがどうなるかというと・・・

そうです。

脂肪として再合成されてしまいます。

なのでクエン酸回路を回したいからといってエネルギーとして使用できないほどの糖質や脂質を摂取してしまうと脂肪として蓄積してしまいます。

ちなみに1度アスチルCoAにまで代謝されると糖質に戻ることはありません。

つまり糖質由来のアスチルCoAも余ると脂肪になってしまいます。

これが糖質は余ると脂肪になると言われる所以です。

糖質は摂取しなさ過ぎるのもダメ!摂取し過ぎるのもダメ!適量を摂取するようにしましょう!

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まとめ

いかがだったでしょうか。ヒトの代謝のメカニズムがざっくりとは理解してもらえたでしょうか?
最後にまとめです。

ヒトの体はクエン酸回路という燃焼炉によりエネルギーを作り出しています。

クエン酸回路にはクエン酸を供給することでエネルギーを取り出すことができます。

クエン酸を合成するにはアセチルCoAとオキサロ酢酸の2つの代謝物が必要です。

糖質の代謝ではアセチルCoAとオキサロ酢酸の両方が作られるのに対し、脂肪の代謝ではアセチルCoAしか作るこができません。よって脂肪だけではクエン酸回路によりエネルギーを取り出すことが出来ないのです。

脂肪をクエン酸回路でエネルギーを取り出すためには糖質の摂取が不可欠なのです。

糖質の代謝ではオキサロ酢酸と同時にアセチルCoAも作られるので、オキサロ酢酸が脂質由来のアセチルCoAをクエン酸に合成するのに使われてしまいそうですが、オキサロ酢酸はクエン酸回路では減少しないため脂質由来のアセチルCoAをクエン酸に合成しクエン酸回路に投入することが出来ます。

オキサロ酢酸が少量でもクエン酸回路は回りますが、大量のオキサロ酢酸がある方が火力が上がり単位時間当たりのエネルギー取り出し量がアップするので脂肪の燃焼量も増加します。

ただし、ヒトの体は必要な分のエネルギーしか取り出すことはできません。
アセチルCoAが余ってしまうと脂肪由来、糖質由来に関わらず脂肪に再合成されてしまうので注意しましょう。

糖質は食べ過ぎも太る原因の1つですが、食べなさ過ぎるのも脂肪の燃焼を抑制してしまう可能性があります。よって糖質は適度に摂取するのが正解なんだよっていうお話でした。

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